とよだの腹
姫野カオルコ
姫野 カオルコが直木賞を獲ったそうである
おめでたいというべきか 少し残念でもある

彼女には 永遠のノミネーターであって欲しかった気も・・・ 少しならずある

過去 何度も素晴らしい作品群によりノミネートされ続けてきていたんだがな(4回=4作品)
最終選考者の好みに合わなかったんだろうなぁ 本命視されながらも受賞できずにきた
(まぁしかし だいたい直木賞ってタイミングを逸するのが得意な「旧権威」が選ぶ賞であるが)
(加えて言うと 今 最も選考能力が高いのは「本屋大賞」である)

ただ そういう「権威」に嫌われながらも ノミネートされ続けてきたというところに
無冠の帝王「姫野カオルコ」のカッコよさが あったような気もする


彼女は圧倒的に文章が上手い いや文章力というより世界構成力と言った方が合っているかもしれん

  
  百田尚樹は 実は文章はそんなに上手くない
  彼はいろんな分野の小説を書いているが 文章自体はステレオタイプというか たいしたことない
  彼に優れているのはエンターテイメント能力である (よく言うとストーリーテラー能力) 
  これはこれで大事な能力ではあるがね 
  「広く浅く」これに天性の「口のうまさ」を加えてごまかしているのが百田である


  池井戸潤は三菱銀行時代に深く深く 人を組織を 観察してきたんだろうなぁ
  彼は 三菱という組織に合う人材ではない 嫌いだったんだろうなぁ
  ただ 今 その頃培ったもの(思い・知識)だけで数多くの作品を世に出している
  「狭く深く」これに彼の人間力を加えて広げてきているのが池井戸である


  湊かなえも文章力はある方だが・・・(すまん「告白」しか読んどらん)
  あの小説の 章ごとの最後の一行でのどんでん返し は見事だったが
  世界構成力では 圧倒的に姫野の方が上である

  
今から 姫野カオルコと湊かなえを比べて「世界構成力」を説明する
(姫野のは2003年の直木賞候補になった「ツ、イ、ラ、ク」 湊のは2009年本屋大賞「告白」で比較する)
それぞれ中学校が舞台である

 ツイラクは 教師と女生徒がヤッちまって堕ちていくってヤツ(いや素敵な恋愛小説です)で
 告白は ガキが教師の幼児を殺しちまったってヤツ(いや ハラハラする復讐劇です)である

湊かなえ(告白)は 一つの事件にスポットを当て それを何人かの登場人物に語らせ
視点を変えながら全体像を照らし出していく手法を取っている

姫野カオルコ(ツイラク)はなぁ・・・ おそらく とんでもない作り方をしている
いや「おそらく」である 本人に聞いたわけではない
彼女は 物語の舞台となった地方都市の何十年間をすべて完全に作り上げてから
ストーリーに関係する部分だけをピックアップしてつなげているんじゃなかろうか

  完全に作り上げてと言うのは どこに駅があり どこの角に八百屋があり 喫茶店があり であり
  何万いるか分からん住人一人一人の生活 たとえばどこのオヤジが何時何分にくしゃみをして であり
  何万世帯あるかわからんが どこの家庭の何日の晩飯は何で その時の会話は何か というのを
  神様のように全部作り上げてから 物語に入っているような気がしてならん

  彼女に 物語と全く関係ない300メートル先の家庭のことを聞いても グーグルアースのように
  ポンとその風景を映し出すのではないか

いや「ツイラク」のあとに 「桃」という短編集を出しているんだがね
主人公ではない脇役の連中が そのとき何をやっていたのかという 筋と全く関係ないストーリーを
何篇も作っているのだ まとめて文庫本になってる


  


世界構成力 というと宮崎駿を思い出す 
風の谷のナウシカではナウシカの目線で物語をつないでいるが おそらく「巨神兵」や「王蟲」目線でも
長編アニメを作れるはずだ
また例えは適切でなかろうが 羽生善治あたりは 一手指しただけで将棋盤の上に展開される世界が
全て見えるのではなかろうか


オイラは「書き手」を目指しているが 姫野や宮崎のような能力はない 

湊かなえのような書き方は 実は「楽(らく)」なのである
百田や池井戸くらいであれば もっと楽である
オイラには姫野カオルコは目指せない あの子には勝てない

・・・が 面白いことになぁ 
百田や池井戸の方がエンターテイメント的には圧倒的に面白いのである
姫野の凄さは大衆には分からんだろうなぁ

 ちょいと余談を

 NHKの朝ドラで「おひさま」ちゅうのがあったろう 井上真央が演ったヤツだ
 あれは姫野の「ハルカエイティ」を完全にパクッたヤツだ 
 原作:姫野 と言ってやればいいのに NHKと脚本家が保身のため隠した

 途中で騒ぎになった NHKと脚本家は完全否定した  しょうがなく途中からパクリを止めて
 脚本家のオリジナルストーリーに変えていったが 視聴者から山のように投書が来たそうである
 曰く 「いままで面白かったのに 途中からつまんなくなった なぜ?」

 それはね
 脚本家クン キミには そんな力量はなかったってこと
 NHKクン キミらは とっても恥ずかしいことをしてたから   ・・・ で ある

 
 この話はここで うやむやのまま終わってしまっている
 でも これぞ「無冠の女王」姫野カオルコらしい エピソードだなぁ と思う
 権威は姫野が嫌いだし 姫野はそんなことで騒いだりしない






水卜に指原にふなっしー オイラが「ほぅ」と思ったヤツらは やっぱり爆発してくれた
百田に池井戸に姫野 オイラが「ほぅ」と思った作家さんは やっぱり爆発してくれた

オイラには「観客」の才能があるんだなぁ ちょいと嬉しい





※ 直木賞の選考委員 浅田次郎のコメントが素敵だったので付記しておく

  姫野さんは今回が5回目の候補ですが、ふつう直木賞の候補は、ほぼ連続して挙がってくる。
  ところが姫野さんの場合は、長い時間にわたり、数年おきにとびとび、オリンピック状態で
  候補になった。
  たいへん個性が強く、そのたびに賛否両論が分かれる作家です。
  ただ私見では今回、その個性を失わないまま、迎合しない状態で、すばらしいまとまりを示した。
  直接的に、最も重要なのはオリジナリティーだったと思います。
  これだけ出版点数が増え、同じような小説が受け入れられやすい市場の中で、姫野さんは
  デビュー以来、ご自分の世界というものを真っすぐ書いていた孤高の作家です。??
  今回は、姫野さんに直木賞がねじふせられた感じの受賞ではないか。正直、頭が下がりました。
  今日、小説がまま影響されやすいコミックやゲーム、映像といったものとは全く別次元にある、
  小説の世界に根を張った小説であると感じました。
  最も受賞を決定づけた理由は、オリジナリティーです






姫野カオルコさん
そんなに エンターテイメント的には 面白くはない作品かもしれませんがね
お約束通り 「昭和の犬」 ちゃんとカネ払って読ませてもらいますよ

本当に おめでとうございました


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