とよだの腹
 王 様   (中段)
論語に こういう一節がある


  子曰く、
  吾れ十有五にして学に志ざす。
  三十にして立つ。
  四十にして惑わず。
  五十にして天命を知る。
  六十にして耳従う。
  七十にして心の欲するところに従って、矩を踰えず



七十のところが好きでな 「従心」 と呼ぶ 
訳すると
「七十歳になると、心の趣くままに行動しても、人の道にはずれるようなことはなくなった」 
てな意味になる

オイラの「王様」の理想はこれである こんなジジイになりたい
そして 出来得ればなぁ 
そんな 好き勝手に生きる中 すれ違う人々を 少しだけでも幸福してさしあげられれば・・・
たいしたことは出来んだろうが ちょっとでも笑顔の量が増やせるものなら
これ以上の幸福はない


分かっておる オイラを知ってる方々からは
「テメェみたいな 自堕落で 怠け者で いい加減な男が 勝手言うでない!」
と 秒殺でブーイングの嵐であろう
良いではないか 思うのは勝手である 理想だと言っておるではないか  許せ

すれ違う方々から たくさん たくさん 幸福をいただいておるのだ
お返しをしたい と考えても 人の道には外れん思いだろうが


  毎週 月曜と木曜にすれ違う方がいる
  オイラのマンションを掃除に来て下さっている 管理会社と契約をされているであろうオバサンだ

  汚れてもいい動きやすい恰好で来られててな (まさしく掃除のオバちゃんスタイル) 
  手ぬぐいで姉さん被りしているんで 最初 容貌はよく分からんかったが 
  挨拶を交わすようなってな よく見ると オイラより確実に年上であろうその人は どう言うか
  恰好や年齢に関係なく 「品」 と 「本物の大人の優しさ」 を備えておられる方であった

  最初に言葉を交わした時のことを覚えている
  朝でな オバさんは エントランスを掃除されてた 
  皆さんも感覚で分かると思うが 急いでいる時 掃除のオバちゃんとか宅急便とか
  風景と同化してるので 住人は誰も気に掛けずにスッスッと通り過ぎて行く

  その時 オイラの前を歩いていた「私は出来る女よ」てな感じのキャリアウーマン風の女が
  オバちゃんに 「ご苦労様!」 と 声をかけたのだ

     ここまで書くと みんなが無視するのにきちんと声をかけたその女は いい女っぽく見えるか
     ただなぁ オイラ その声を聴いた瞬間 物凄い違和感を感じたのだ
     「何だ このオンナ」 って感じだ

  明らかに蔑視が入った口調だった 貴族が使用人に言うような感じ(どんな感じだ)なのだ
  それも結構どすの利いた声であった 
  ワタシ様が通るのよ 道 空けなさいよ  てな空気がプンプンとしている
  不意を突かれ 掃除に専念していたオバちゃんはびっくりしたように身体をピクッとさせたが
  「あ すいません」 と道をよけた

  管理費・共益費を払ってるかも知らんがなぁ
  どう見ても年上の方に 人生の大先輩に あの口調はなかろうが  
  それにな マンションを綺麗にしてくださっているっていう とっても高貴な労働を
  我々に費やしてくださっているのだ テメエがどれだけ偉いって言うんだ 
  勘違いするんじゃねぇ!

  同じ住民の一人として 憤りと申し訳なさが オイラの中を駈け廻ってしまった

  勘違い女は 背筋をそっくり返るようにして 早足で ヒールをカッカッと響かせながら
  もはや棟外に出ていってしまっている
  数メーター後をオイラは歩いている オバちゃんは呆然としている
  思わず帽子を取り 腰を折り 「おはようございます いつもありがとうございます」と
  お辞儀をしていた

  オバちゃんは笑顔になってくださった そして 「はい おはようございます」 と返してくれた
  その笑顔を見てハッと分かった   外見・服装ではない
  その笑顔は 間違いなく 慈愛に満ちた上品な貴婦人しか醸し出せない笑顔であった


話は少し変わるがな 皆さんの会社にも 警備のオジちゃんとか掃除のオバちゃんとかいるだろ
そんな方々にきちんと挨拶できる子たちってね 不思議なことに 仕事が出来たり 
仲間内で人気があったり ちゃんとしてる子が多い
多くの後輩・部下を持ってきたけどね ここぞというときに頼りになるのはそういう子たちだった

能力だけあったり 上司にお上手を言えるヤツが出世する  そんな神話信じちゃいないか
この不可思議な世の中に「真理」があるとしたらね
私利私欲の損得とは関係のない 人生ですれ違う方々にもきちんと心を配れるヤツ 
本当に強いのはそいつらだ 

振り返って 思ってみたらね
「最後の最後に勝ってたのは 結局はそいつらだった」         それが真理だ



  オバちゃんとは それ以来 出会うと挨拶し合うようになった
  気候の話とか 二言三言話してすれ違う
  オバちゃんは 最後に こんなプータローに 母親のような口調で言ってくださる

  「 行ってらっしゃい 」


  ハイ 行って参ります

  こんな見ず知らずの むさくるしいダメ男に 優しいお言葉有難うございます
 
  おかげで 王様になったような気分で また一日頑張れそうです 
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